競売物件の明渡しトラブルと損害金の回収
競売物件の明渡しトラブルと損害金回収の特徴
競売物件の明渡しトラブルの特徴は、他の明渡し事案とことなり、明渡しを求める所有者と占有者との間に契約関係が存在しないということです。そのため、競売により物件を取得した所有者には、簡易に占有者を物件から排除する方法として引き渡し命令申立という制度が認められています。
また、競売物件については、占有者が第三者に占有を移転するなどの方法で執行妨害を行うことも多くこの点への対応も必要になります。
競売物件の明渡しトラブルと損害金回収の対応方法
競売物件の占有者との関係では、明渡し猶予期間中に賃料相当損害金の支払が得られるのであれば、徐々に明渡しの準備をすすめていくことになります。明渡し猶予期間が経過したり、賃料相当損害金の支払いがなされない場合は、即座に引渡命令申立を行います。
引渡命令申立の際、占有者が第三者に占有移転するなどの懸念がある場合は、占有移転禁止の保全処分申立をしておくことも必要です。
賃料相当損害金の回収は、占有者の状況による面がありますが、第三者に占有を移転するなどして執行妨害を行っている場合は、執行妨害に協力した第三者に対しても損害賠償請求をする方法もあり得ます。
トラブルに強い賃貸借契約~予防法務のすすめ~
競売物件については、賃貸借契約を締結している訳ではないため、トラブルの予防は難しい面があります。ただし、物件競落後の交渉で、法的な知識がないまま安易に一時的な占有を認めたことを、賃貸借契約が成立したなどと主張されるケースもありますので、占有者に付け込まれるような言動はしないことが重要です。